社名を出せなくても、判断に使える導入事例は作れる

更新日: | 監修:導入事例制作サービス ビズログ

社名を出せないと言われても、導入事例をすぐに諦める必要はありません。読者が知りたいのは、その企業の名前だけではないからです。似た業務や条件で、何を理由に選び、どのように運用したのかが分かれば、検討の材料になる話は残せます。

一方で、社名だけを「A社」に変えれば済むわけでもありません。地域、規模、製品、導入時期などを組み合わせると企業が推測される場合があります。何を伏せるかと、何を伝える必要があるかを、取材先と一緒に整理します。

会社の背景と業務の変化を残し、企業の特定を防ぐ匿名事例の図
会社の背景と業務の変化を残し、企業の特定を防ぐ匿名事例の図
目次
  1. 名前の代わりに、読者が比較できる背景を残す
  2. 匿名にする理由によって、出せる情報が違う
  3. 具体性は、派手な成果数値の代わりにもなる
  4. 写真と画面も、本文と一緒に見直す

名前の代わりに、読者が比較できる背景を残す

「ある企業が導入し、業務が効率化した」という説明では、読者は自社と比べられません。業種、業務、使う部門、運用体制、導入前の方法など、今回の話を理解するために必要な情報を残します。すべてを細かく出す必要はなく、選定理由や運用の難しさに関係するものを選びます。

たとえば本社でまとめて管理できるようになった話なら、拠点が複数あることは背景になります。ただ、正確な拠点数と所在地を両方出さなくても説明できる場合があります。「複数の拠点を持つ企業」とし、拠点ごとに申請方法が違った点を具体的に書くほうが、業務の課題は伝わります。

情報を残す書き方の例

説明が足りない例:ある企業では、システムを導入して情報共有が改善した。

背景を残す例:複数の拠点で保守業務を行う企業では、担当者が個別に保存していた点検記録を、管理部門へ集めるのに時間がかかっていた。導入後は、拠点ごとに入力項目を揃え、管理部門が同じ画面で確認する運用へ変えた。

匿名にする理由によって、出せる情報が違う

社内方針で企業名を出せないのか、取引関係を知られたくないのか、業務の詳細を公開できないのか。匿名化の理由を、差し支えない範囲で相談します。理由が分かると、社名以外に避けるべき情報も見えてきます。

取引関係そのものを伏せたい場合、公開資料や採用情報と照らし合わせて特定される記述には特に注意します。独自の職種名、特徴的な拠点、限られた時期のプロジェクトなどは、一般的な表現へ置き換える選択肢があります。読者への説明が成り立たないほど伏せる必要があるなら、公開用の事例以外の利用も含めて企画を考え直します。

社名が出ない記事では、顧客の確認も不要になると思わないようにします。発言、業務情報、写真、数値を扱う点は変わらず、匿名化後の原稿全体を見てもらう必要があります。

具体性は、派手な成果数値の代わりにもなる

数値を出せない場合は、作業がどう進むようになったかを聞きます。導入前には誰へ何を依頼していたか、確認のためにどの資料を見ていたか、導入後は誰がその情報を持つようになったか。行動の変化を追うと、抽象的な「便利になった」から一段深く書けます。

ただし、数値を丸めたり、規模を広い範囲に変えたりするときも、事実から外れないかを確認します。「約」「程度」を付ければ自由に変更できるものではありません。取材先と合意した表現を原稿に残し、制作側だけで都合のよい数値に置き換えないようにします。

複数の顧客の話を混ぜて一社の体験のように書くのも避けます。一つの実在顧客の事例として出すなら、そこで起きたことの範囲を守ります。一般的な説明や想定例は、事例の事実と読者が区別できる書き方にします。

写真と画面も、本文と一緒に見直す

本文を匿名化しても、写真に社名や製品ラベルが写っていれば条件は守れません。制服、建物の外観、名札、ホワイトボード、画面のURLなども見ます。画像ファイル名や代替テキストに企業名を残してしまうこともあるため、Webへ掲載した状態まで確かめましょう。

代わりの素材として図解を使う場合は、取材内容をもとにした説明図か、一般的なイメージかを明確にします。実際の顧客の施設や画面ではない画像を、現場写真のように見せない配慮が必要です。

最終確認では、「名前が消えているか」に加えて、「この条件なら掲載できると合意した範囲に収まっているか」を見ます。匿名化の修正によって、話の主語や対象業務が曖昧になっていないかも確認してから公開します。

外部への依頼を検討している方は、導入事例制作のサービス内容をご覧ください。