質問案は、導入の経緯をたどれる順番にする
導入事例の取材では、質問の内容と、その順番を一緒に考えます。いきなり成果を聞くより、導入前の状況から、選定時の迷い、導入後の使い方と変化へ進めると、前提を共有しながら話を聞けます。
取材対象者が話しやすい順番で聞くと、原稿にしたときも読みやすくなります。導入事例は、読者が自社の状況に置き換えながら読むコンテンツだからです。

導入前の課題を聞く質問
質問例
- 導入前は、どのような業務課題がありましたか。
- その課題は、現場や管理部門にどんな影響を与えていましたか。
- それまでに試した対策や、うまくいかなかった方法はありますか。
- 導入を検討し始めたきっかけは何でしたか。
ここでは、製品の話に入る前に、顧客側の困りごとを立ち上げます。課題が具体的に見えるほど、導入後の変化も伝わりやすくなります。
選定理由を聞く質問
質問例
- 複数の候補を比較したとき、どの点を重視しましたか。
- 最終的に選んだ理由は何でしたか。
- 導入前に不安だった点はありましたか。
- 社内で承認を得るとき、どんな説明をしましたか。
選定理由は、読み手が特に知りたい部分です。機能名を並べるより、「なぜその機能が必要だったのか」まで聞くと、読者に伝わる内容になります。
活用方法と成果を聞く質問
質問例
- 現在はどのような場面で利用していますか。
- 導入後、業務の進め方はどう変わりましたか。
- 時間、件数、コストなど、数値で見える変化はありますか。
- 現場の反応や、社内での評価はどうでしたか。
成果は、数値で出せるものと、言葉で伝えるものに分かれます。数値が出せない場合でも、担当者の負担、確認のしやすさ、社内共有のしやすさなどを聞くと、変化が見えてきます。
活用を聞く際は、導入直後と現在を分けます。準備に必要だったことを聞かず、現在の便利さだけを載せると、読者は自社で始めるための仕事を想像できません。次の問いを、今回の主題に合わせて加えます。
- 使い始める前に、社内で決めた役割やルールはありますか。
- 最初に試した部門はどこで、なぜそこを選びましたか。
- 実際に使ってみて、変更した手順はありますか。
- 利用者から質問が来た場合、誰が対応していますか。
- 現在も従来の方法を残している業務はありますか。
取材前に共有しておくこと
取材対象者には、事前に質問案と公開までの流れを共有します。何を聞かれるか、どこまで公開されるかが見えていれば、相手も安心して話しやすくなります。
- 取材時間の目安
- 質問案
- 公開前に確認できること
- 社名、氏名、写真、数値の公開範囲
取材ディレクターとして見ると
取材で良い話が出るときは、最初から話し手が上手なわけではありません。こちらが急がず、導入前の困りごとから順番に聞くと、途中で「あ、そういえば」と具体的な話が出てきます。
質問案は台本ではなく、話を深掘りするための地図です。予定どおりに聞くより、相手の言葉に反応して掘るほうが、事例らしい原稿になります。
回答が抽象的なときの追加質問
| 最初の回答 | 次に聞く問い | 確かめること |
|---|---|---|
| 業務が効率化した | 直近では、どの仕事で変化を感じましたか | 具体的な場面と対象業務 |
| 使いやすかった | 誰が、以前のどの方法と比べましたか | 利用者と比較対象 |
| サポートがよかった | どんな相談をして、次に何を進められましたか | 支援の内容と役割 |
| 時間が半分になった | どの期間、作業、件数を比べた数字ですか | 数値の範囲と算出方法 |
追加質問を重ねるときは、一度に複数のことを尋ねないようにします。答えが出にくいなら、時期や場面を絞って聞き直します。思い出せない情報を推測で埋めてもらうより、後から確認する項目へ回すほうが、原稿の根拠を保てます。
取材の終わりに確認したいこと
最後は、聞き漏らした質問を急いで消化するだけにしません。説明された数字や固有名詞、後から提供してもらう資料、記事には使わない話を確認します。タイトルで大きく扱いたい主題があれば、その理解が合っているかを短く言い直して確かめます。
公開前に原稿を誰へ送り、必要な社内確認をどう進めるかも相談します。質問案どおりに全部聞けたかより、読者の疑問へ答える材料と、未確認の情報が分かれているかを見て取材を終えます。会話の掘り下げ方は深掘り質問の記事で、回答別に詳しく紹介しています。
外部への依頼を検討している方は、導入事例制作のサービス内容をご覧ください。